「持株会」って利用していますか?
会社に制度はあるけど、なんとなくよく分からない。
「自分の会社の株を買うんでしょ?」
くらいの認識で、そのままになっている人も多いのではないでしょうか。
今では資産形成というと、
- NISA
- 企業型DC
- iDeCo
などに目が行きがちですが、会社員なら一度チェックしておきたいのが「従業員持株会」です。
私も持株会を長くやっていますが、本当にやっていてよかったと思う制度です。
今回は、持株会について考えてみたいと思います。
■そもそも「持株会」って何?
簡単に言ってしまえば、
毎月の給料などから一定額を天引きして、自分が勤めている会社の株を買っていく制度
です。
たとえば毎月1万円と決めておけば、給料から自動的に1万円が引かれて、自社株を買ってくれます。
つまり、自分で毎月注文する必要がありません。
これは企業型DCなどにも共通しますが、
給料が自分の手に渡る前に「自動的に積み立てられる」
これは資産形成では意外と大きなメリットだと思っています。
手元にお金があると、どうしても使ってしまいますからね(笑)
■持株会の魅力は「奨励金」
そして、持株会を考えるうえで一番注目したいのが、
「奨励金」
です。
会社によって制度は違いますが、積立金額に対して会社がお金を上乗せしてくれる場合があります。
仮に奨励金が10%だったとしましょう。
自分が毎月1万円を積み立てると、
10,000円+1,000円=11,000円
分の株を購入できるということです。
年間なら、
自分の積立額 12万円
奨励金 1万2,000円
となります。
もちろん税金なども考える必要がありますし、会社によって奨励金の割合や条件も違います。
それでも、
「自分が出したお金以上の金額から投資をスタートできる」
というのは、持株会ならではの魅力です。
もし自分の会社に持株会があるなら、まずは
「うちの会社、奨励金はいくらなんだろう?」
と確認してみてもいいと思います。
■少額から始められるのもいい
株式投資というと、
「まとまったお金が必要なのでは?」
と思う人もいるかもしれません。
でも持株会なら、会社の制度によっては毎月数千円程度から始めることができます。
株価が高い会社でも、毎月一定額ずつ買っていけます。
ですから、
「株式投資をやったことがない」
という人が投資を始めるきっかけとしても、比較的わかりやすい制度だと思います。
給料から自動的に引かれるので、
「今月は株価が高いからやめようかな」
「株価が下がって怖いから買うのをやめよう」
などと毎月悩む必要もありません。
淡々と積み立てていく。
長期の資産形成では、この「淡々と」が結構大事だったりします。
まさに「ドルコスト平均法」を自然に実践できる仕組みともいえますね。
■でも「自分の会社だから安心」ではない
ここは重要です。
持株会にも当然リスクがあります。
持株会で買っているのは株式です。
預金ではありません。
会社の業績が悪くなれば株価が下がることもありますし、購入した金額より大きく値下がりする可能性もあります。
さらに会社員の場合、少し特殊なリスクがあります。
それは、
「給料も自分の会社、資産も自分の会社」
になってしまうことです。
会社の業績が悪化すると、
給料やボーナスに影響する
↓
さらに自社株の株価も下がる
ということが同時に起こる可能性があります。
これは持株会を利用するときに、ぜひ覚えておきたいポイントです。
■持株会だけに全力投資しない
だから私は、
「持株会がある=資産形成は全部持株会」
ではないと思っています。
NISAでは幅広い企業に分散された投資信託を積み立てる。
企業型DCでは老後資金を作る。
そして持株会では、会社からもらえる奨励金などのメリットを活用する。
こんなふうに、
それぞれの制度のいいところを使い分ける
という考え方もあります。
特に持株会は、自分の会社の株に集中して投資することになります。
資産全体に占める自社株の割合が大きくなりすぎていないかは、ときどき確認したほうがいいでしょう。
■では、自分の会社の株を買うべきか?
ここからもう少し踏み込んで考えてみます。
持株会を始めるということは、
「自分の会社の株を購入し、株主になる」
ということです。
先ほど書いたように、
「給料も自分の会社、資産も自分の会社」
というリスクがあります。
では、それでも自分の会社の株を買う意味があるのか?
迷うところかもしれません。
そこで、自社株を長く持つ意味を考えてみます。
私なりには大きく2つあると思っています。
・中長期的なキャピタルゲイン
・将来的なインカムゲイン
です。
【中長期的なキャピタルゲイン】
毎月コツコツと積み立てていき、株価が上昇したところで売却する。
購入価格より高い価格で売却できれば、
「キャピタルゲイン(値上がり益)」
を得ることができます。
持株会から自分の証券口座へ株式を移して売却できる仕組みを設けている場合もあります。
もちろん株価が上がる保証はありません。
だからこそ、
「自分の会社は中長期的に成長していける会社なのか?」
という視点を持つことが大切になります。
【将来的なインカムゲイン】
もうひとつが、
「インカムゲイン(配当収入)」
です。
コツコツ積み立ててきた株式を、将来、自分の証券口座へ移して保有を続ける。
会社が配当を出していれば、株主として配当金を受け取ることができます。
たとえば自分の会社が、
・継続的に増配している
・株主還元を重視している
・安定して利益を出している
といった会社なら、長期保有という選択肢も見えてきます。
持株会を単なる「給料天引きの積立」として考えるのではなく、
「この会社の株を10年、20年持っていたいか?」
という視点で考えてみる。
そうすると、持株会に参加するかどうかの判断にも現実味が増してくると思います。
■会社はなぜ持株会を奨励するのか?
ここもちょっと面白いところです。
そもそも、
「なぜ会社は奨励金まで出して、従業員に自社株を買ってもらうのか?」
考えてみると不思議ですよね。
もちろん理由は会社によって違います。
従業員の資産形成支援という意味もあるでしょうし、従業員に株主として会社の成長を意識してもらいたいという狙いも考えられます。
そしてもうひとつ注目したいのが、
「安定株主」
という視点です。
現在では海外投資家や機関投資家など、さまざまな株主が日本企業の株式を保有しています。
株主構成によっては、経営陣が株主からさまざまな要求を受けることもあります。
その中で従業員持株会がまとまった株式を保有していれば、会社にとって一定の存在感を持つ株主になります。
実際、自分の会社の大株主を調べてみると面白いです。
会社のIR資料や四季報などを見てみてください。
上位株主に、
「○○従業員持株会」
という名前が入っている会社もあります。
「こんなに持株会が株を持っているんだ!」
と驚くかもしれません。
つまり、それだけ多くの社員が持株会を通じて自社株を保有しているということでもあります。
もちろん、持株会だから必ず経営陣の意向に賛成するとは限りませんし、議決権の扱いについても持株会の規約などによって異なります。
ただ、会社側から見れば、
「従業員にも株主になってもらう」
ことには一定の意味があるのでしょう。
だからこそ、奨励金というメリットを付けて持株会への参加を促している会社もあるわけです。
■自分の会社を「投資家目線」で見てみる
ここまで考えると、持株会にはもうひとつ面白いところがあります。
普段は、
「社員として見る自分の会社」
ですが、持株会に参加すると、
「株主として見る自分の会社」
という視点が加わります。
業績はどうなのか。
利益は増えているのか。
配当金は増えているのか。
株主還元を重視している会社なのか。
中長期的に成長できそうなのか。
そして、
「自分だったら、この会社の株を買いたいと思うのか?」
社員として会社を見るのと、投資家として会社を見るのでは、意外と景色が違って見えるかもしれません。
まずは自分の会社のIR情報や持株会制度を調べてみる。
そして四季報などで株主構成を確認してみる。
上位株主に「従業員持株会」があるかどうかを見てみるのも面白いと思います。
さらに、
奨励金は何%なのか?
配当はどうなっているのか?
業績は伸びているのか?
ここまで調べてみると、
「なんとなく会社に勧められたから持株会を始める」
ではなく、
「自分で考えて、自分の会社に投資する」
という感覚になってきます。
持株会も立派な株式投資です。
せっかく会社員だからこそ利用できる制度。
まずは自分の会社の持株会がどんな制度になっているのか、調べるところから始めてみてはいかがでしょうか。
◆ワンポイント情報◆
日本は、バブル崩壊後の失われた30年という時代がありました。この期間は、株価も下がり続け底が長く続き、先の見えない不安な時代でした。
長くデフレが続き、物の値段は上がらないことが常識となっていました。企業の売上も増えない悪循環を解決するものとして、ゼロ金利政策が敷かれ、企業への融資を促進し設備投資を促しました。
明るい兆しが見え始めたさなかに、とどめの様にコロナショックが訪れ、引き続き日米の金利差が広がるなどの不安な世の中になり、混とんとしていました。
コロナも明け、ようやく景気改善の兆しが見えてくると、インフレの流れとなり、企業の業績も上がてきました。
この間に、投資はどうだったかと言うと、株価は低迷なので、良くは無かったです。
ただし、持株会については、この期間の恩恵を素晴らしく受けた投資であったと思います。
低迷して価格の下がりっぱなしだった株を毎月決まった額で淡々と購入し続けていたからです。株価が低いので、それだけ多くの株数が買えたわけです。
現在は株価も上がり、売却すれば相応のキャピタルゲインを獲得できます。
更に、売却しなくても、株主重視の世の中となり、連続増配企業も増えてきています。安い価格で株数を多く持てたことで、1株当たりに分配される配当金を毎年受け取ることになれたのです。
これは、まさに「ドルコスト平均法」の極致です。
そして、これが給料チェックオフという、半ば気づかないような仕組みで実行できて来たことが継続できた最大の要因だと思います。やめるのも、手続き面倒ですしね。
これから、20年、30年後の株価はどうなっているか、誰にも分かりませんが、コツコツと続けていくメリットはあるのではないかと思います。
この記事は個人的な意見とした記事で、投資成果を保証するものではありません。投資は自己判断、自己責任でお願いします。

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